愛を知らない一輪の花

取り引き先の男性が店に入っていくのを確認して、ゆっくり百合の手を握った。


「配達、お疲れ。こんな時間まで本当にご苦労様。花束は百合が作ったの?」

優しく微笑まれ、ドキッとした。


「あ、はい。作らせて頂きました。」

「そう。凄いいいから、そうかなって思ったよ。今日は接待で家まで送れないけど、気をつけて帰って?」

「今日はこのまま直帰なんです。なので会社の車を借りて帰ろうと思います。、、、それより、、さっきはすみませんでした。社長に嘘をつかせてしまって、、、。」

申し訳なさそうに謝る百合。


「、、、嘘を付いた覚えはないけど。俺と百合は恋人にはなれない?」

「、、、え?」

突然の事にびっくりしてしまう。
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