愛を知らない一輪の花
そんな次の日の夕食、食事担当の蓮は調理に取り掛かる。すると少し傷んだトマトを見つけた。蓮はそれを捨てようと生ゴミ入れに入れようとした瞬間、大きな声に止められた。
「捨てては駄目です!!!」
振り返るとそこには百合の姿があった。
「これ、、傷んでたんだよ。しかもこんな量。食べて腹でも壊したら大変だろ。新しいトマトもさっきいっぱい買ってきたし。それを使えばいい。」
何気なく言った蓮の言葉に、百合は下を向き、小刻みに震える。
「、、、傷んだトマトは湯むきして火を入れれば、まだ充分食べれます。貴方みたいに、、、お金も物も親も恋人も、、帰る家もある貴方には、きっと分かりません!日々、生きていくことに精一杯な私達の事なんて!絶対にです!!!」
そういうと走り去ってしまった。