愛を知らない一輪の花

蓮は傷んだトマトを持って呆然とする。
なんでも自由に手に入る環境で育った。だから全て当たり前だと思っていた、、傷んだトマトでそんなに必死になる生き方なんて知らない。


今まで、ただ漠然と生きていた事が恥ずかしくなった。ここの施設の子達が努力しても手に入らない環境に自分はいるのに、、、目標も夢もなく生きてきたなんて。














その日の夜ご飯に、百合が現れることは無かった。心配になり、施設長に尋ねた。




「あぁ、斎藤百合ちゃん?ごめんなさいね。今日はもう寝ますって部屋に篭ってるわ。」
< 211 / 259 >

この作品をシェア

pagetop