愛を知らない一輪の花
「、、、花屋?」
「一度だけ行った事があるんです。そこは様々なお花に囲まれた素敵な空間でした。どのお客さんもニコニコと優しく微笑んでいて、その場で作って貰った花束を受け取った方が、物凄く嬉しそうで、作っていた定員さんも嬉しそうで、思わず私も嬉しくなったんです。」
「、、、それに唯一母から貰った愛情ですから。」
「、、、愛情?」
「名前って、産まれて初めて親から貰える愛情だとおもうんです。折角素敵な名前をもらったので、花を扱う仕事してみたいです。」
そんな嬉しそうに、でも少し寂しそうに微笑む彼女が欲しいと思った。
今まで欲しいものなんて無かった。欲しがらなくても手に入ったから。
そんな自分が産まれて初めて、彼女の全てを全身で欲しいと願った。
、、、この子の家族になりたいって。特別になりたい。