愛を知らない一輪の花
その強い眼差しに、嘘偽りのない言葉。
「、、、百合ちゃんはここには来てません。でもたまに会いに来てくれるんです。毎月、ここにお金を送ってくるんですよ。何度要らないといっても聞かなくて。、、、それと15年前から匿名でここに寄付をして下さる方がいるのです。お陰で子供達も食べ物にも困らずに、すくすくと育ってくれています。」
優しく微笑む蓮を見て、施設長は確信した。
「ありがとうございます。ずっと、、、直接御礼を申し上げたいと思っておりました。、、、本当にありがとうございます。」
少し泣いている様な声で、深く頭を下げる。
「、、、頭を上げて下さい。ずっと恩返しがしたかったんです。ここの来るまでの自分は本当にろくでもない人間で。何かに必死になったり、足掻いた事もない、、、。でもここで、生きることに必死な幼い子供を見て、恥ずかしくなりました。気づかせてくれたんです。、、、恵まれた環境に。今自分が出来る事があるって。、、、、でも本当はそんなものは建前です。百合が欲しいと思いました。産まれて初めて。欲しいものにがむしゃらになりました。」