愛を知らない一輪の花

モール支店長、竹田由美子。32歳で168センチの長身に、綺麗な黒髪ロングを上の方に1つに束ねて、真っ赤な口紅がよく似合う、キャリアウーマン。


何度かヘルプでお世話になり、その度に百合を可愛がってくれるカッコよくて優しい憧れの上司だ。




モール内の店舗は常に行き交うお客様に見られながらの業務だ。人混みが苦手な百合は、慣れない視線を受けながら予約のアレンジメントや花束を作る。



「ねぇ、あの子超可愛くない?ほら、花屋の。」


「うわっ、まぢだ!花買いがてらナンパしちゃう?俺まぢドストライクなんですけど!」




行き交う声に苦笑いを浮かべながら、百合を見る。聞こえてはいないだろう真剣な横顔は、女の由美子から見ても惚れ惚れするほど美しい。ただ緊張しているのか、うっすらと汗が見える。




そんな百合に声を掛ける。


「本当ごめんね。やりにくいでしょ〜?いつになくチラチラ見られるしね〜。水分補給がてらに少し休憩しておいで?」





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