愛を知らない一輪の花
真実
百合はゆっくり目を覚ました。動かない身体で顔だけ動かし時計を確認する。
時刻はもう夕方。どれくらい眠っていたのだろう。思うように働かない脳でボンヤリと考える。すると身体が何かにぶつかり、はっとする。
振り向くと、薄っすらクマのできた蓮の顔が見えた。
何度も着信があっていた。
もしかして、、、寝らずに探してくれたのだろうか。そんな淡い期待をしてはいけない。
ここを出ていかなければ。
取りあえず、今のうちに荷物をまとめようと重い身体にムチを打ち、立ち上がろうとすると、強い力で手首を掴まれた。