愛を知らない一輪の花

噂は瞬く間に広がり、リス・フルールオフィスビルにある資材部や鉢物部、仕入れ部などの人間は何かと用事を見つけては、駅前支店に足を運ぶようになった。


あまりにも業務に支障がでたため、
駅前支店長である前垣が本社まで出向き上に話をつけたこともあった。


ただ、驚くのが本人がまるで自覚がなく、店の店番として立たせれば花を買う目的以外の客も押し寄せ、止む無く裏方業務へ引っ込ませることになったらしい。




百合本人は自分の努力不足なのだと、勘違いをし人一倍努力して、才能により磨きをかけた。
人が嫌がる仕事も積極的に引き受け、どんな仕事も卒なくこなす。



仕事の鬼と恐れられる前垣の今や右腕として日々奮闘している。あの仕事に厳しい前垣が自分の留守を任せるほど信頼も厚い。



まさに業務内容の多い駅前支店の二枚看板。
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