愛を知らない一輪の花
少し顔色がもどった百合の顔を見てホッとする。
「そしたら、ご予約のお客様がいらっしゃらない間に店内の鉢物の水やりを。それが終わったら、この胡蝶蘭のラッピングをお願いするわ。明日朝一でお客様が取りに来られるの。」
「わかりました。」
百合は水差しを手に取り、店内の鉢物に水をやりながら手入れもしつつ店内を見てまわる。
バラの棘取りをしながら、由美子は百合にずっと気になっていた事を聞いてみた。
「斎藤ちゃんのその老若男女に敬語なのって癖なの?ずっと思ってたんだけど。」
「そうですね。子供の頃からそうなので癖だと思います。学生の頃は同級生から気持ち悪がられて、何度か治そうとしたのですが、、、なかなか治せなくて、、、。あ、気持ち悪いですよね、、、?」