愛を知らない一輪の花

手を振る由美子に見送られ、車は走り出す。

「着いたら起こすから寝てていいぞ。ここ最近残業続きで無理させてるからな。」


「いいえ‼︎支店長に運転させて寝るだなんてとんでもないです!それより最近会議が多いみたいですけど、なにかトラブルですか?」




外の景色を見ながら眠気と戦っている百合の横顔を見て、少し呆れつつも普段無理をさせすぎているなと痛感した。


「支店長?」


じっと見ているだけで言葉のない透に疑問に思いながら顔を覗き込む。


「あぁ、、、。なかなか煮詰まらない案件があってな。本店と上の人間の意見が噛み合わなくて平行線だ。前から上がってる案件だが、もう何年も揉めてる。」


「、、、何年もですか?」
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