愛を知らない一輪の花


「物は言いようだな。我儘な連中ばかりでこき使われまくりだ。体調不良で死にそうだ。」

近くの自販機でコーヒーを買い、溜息をつきながら口をつける。



「それに、誰かさんの突然の思いつきでこっちはいい迷惑だ。忘年会をはしゃぐ奴らで来週までこのムード一色だろうな。」

「、、、こうでもしないと近づけないと思ったんだよ。そういう飲み会には参加しないし、本社にくる事もほとんどない。なにより駅前支店には来るなって、お前が言うから仕方ない。」


「人混みとかそういうの苦手なの、もうわかってるだろ。本社に使いにやれば、捕まって2時間ぐらい帰ってこないし。お前が来たら、それこそうちの奴らが仕事にならない。」


「だからこうして忘年会をダシに使うしかないんだよ。ちょっとぐずぐずしてられない事情ができたんだ。」


蓮は窓を開け、少し冷たい空気に当たる。
< 54 / 259 >

この作品をシェア

pagetop