愛を知らない一輪の花
「見合い話が本格的に出て来た。30代後半に差し掛かった、相手もいない俺にさすがに心配になったらしい。決めた相手がいるといっても、信じない。会わせないなら勝手に進める気らしい。」
ふぅと星を見上げる。
この会社を立ち上げ規模が大きくなってから、彼女と出会った町の高校全てに、求人の募集をかけた。
まだ幼い彼女にどうしてももう一度会いたくて求人を出し続けた。
数年後、彼女の履歴書を見たときは柄にもなく、ガッツポーズをした事を覚えている。名前しか知らない彼女だったが、あの頃より少しだけ大人びた洗礼された綺麗な顔の履歴書の写真を見間違える訳がない。