愛を知らない一輪の花
ホテルの客室の最上階。
豪華な家具に全面ガラス張りの広い部屋。
乱暴にドアを開け、大きなキングベットに投げ上から睨みつけるように百合を見る。
アルコールで少し染まる頬。下がる眉、潤んだ瞳。そのどれもが透の理性を崩していく。
「抵抗しないのか?誘っているようにしか見えないが。」
「もしかして、、、こういう誘いは初めてじゃないのか?」
少し震えながら、絞り出すように声を出す。
「そう、、、ですね。人肌恋しい時は誰にでもありますから、、。少しの間だけでもその方の心が晴れればそれでいいって思ってます。」
百合は悲しそうに笑う。