愛を知らない一輪の花
斎場から帰ってきた松田が店内に顔を出す。
「祭壇の生け込みお疲れ様です。今のお客様は愛する奥様への花束ですよ。相変わらずお世辞が上手いですね。ふふっ、そんなに褒めてもなにもでませんよ?でも久しぶりに店番に入ってこちらが元気貰えました。」
あのお客様の姿を思い出して嬉しくなった。
「はぁ〜、、、そっちも相変わらずですね。
まあ、それが百合さんですけど。、、、それよりお昼一緒にあがりません?まだですよね?」
そういえば少しお腹が空いてきた。でもまだ皆んな休憩中だ。
「先に上がって下さい。私もあと少ししたらあが『俺が店番変わるから休憩に上がれ、斎藤』」
後ろから急に声を掛けられ驚きつつも頭を下げた。
「支店長、お疲れ様です。」
「あぁ、お疲れ。トラブルはなかったか?」
「はい。大丈夫です。でも少し生花スタンドの数が増えてきたので、花材を本社に取りに行ったほうがいいかもしれません。」