愛を知らない一輪の花
「え?そんな、大丈夫です。体力だけは自信ありますから!」
ぐっと拳を作った百合の仕草に、赤くなった手首がちらりと見えた。
透は咄嗟に手首をつかむ。
「これ、、、大丈夫か?」
掴まれた手首を見て、慌てて後ろに隠した。
「朝からぶつけてしまって。恥ずかしい限りです。ははっ。あれだけ言われていたのにハメ外しちゃいました。」
悲しそうに苦笑いを浮かべ、取り繕う百合に心が痛んだ。
「あいつの事、、、許してやってくれないか?」