あなたと共に
一章
1.5章
私は土方さんに連れられて、ある一室に着いた。
「近藤さん、神上が来たぞ」
襖越しに声を掛ける。
「本当か!?」
驚いたような声で言いながら、襖を勢いよく開けられる。
「中で話すぞ」
私が頷くと、土方さんに顎で指された。
そこに座れという意味だろう。
「初めまして。私はここの局長をしている、近藤勇だ!これから宜しく、神上くん!」
威厳のある顔つきをしていて、長のような雰囲気を纏っていた。
この人が局長になるのも納得がいく。
神になれる人間、というのもこれまた納得がいく。
「改めて、副長をしている土方歳三だ」
鋭い目付きをしている彼は、警戒というのも怠ってはいない。
だが、私が家茂からの紹介だと分かっているため、そこまではないようだ。
「ご存知だとは思いますが、私は神上千尋です。隊士として精一杯働かせていただきます。宜しくお願いします」
「あぁ!君はとても優秀と聞いていたからね!何せ、将軍様お付の方なのだから...」
そうか...私はそういう風になっているのか...
「ありがとうございます」
「ところで、君の処遇についてなんだが、君は監察方に入ってもらい、小姓もして欲しい」
監察方...山崎烝か...
ここ、壬生浪士組では一から十までの隊がある。
閻魔様からの指定された人間は、目の前にいる二人と、一番隊の沖田。
それに、二番隊の永倉と三番隊の斎藤。
あとは、八番隊の藤堂と十番隊の原田。
それと監察方の山崎烝。
リーダーシップがある人間が神候補なのか、それとも違うのか...
私には分かりやしない。
あ、小姓というのはパシリのようなものだ。
雑用、とも言えるがな。
「えっと...誰の小姓なんですか?」
「ここには居ないが、三番隊組長の斎藤一というやつの小姓だ」
土方さんはみなさんと違って、口調が違う。
私に対して敬語ではない。
家茂に紹介された私は身分が上だと、誰でも思うだろう。
そして、私を敬うだろう。
だが彼は、そんなことを承知の上で話している。
身分に囚われない、いい瞳を持った彼...益々、神になれる確率が上がったな。
「そういえば君の部屋だがね、小姓は主と同じ部屋なんだ...」
青白い顔で私を覗く近藤さん。
どうやら私のことが心配なようだ...
「えっと...大丈夫です!」
「本当か?」
「大丈夫ですよ!私はどこでも寝れるんでニコッ」
「それは良かった!では神上くん、歳に斎藤君のところに案内してもらいなさい」
「おい、行くぞ」
ぶっきらぼうに言う土方さんは、どこか少し刺があるようだ。
「はい!ありがとうございました。失礼します」
土方さんも退室すると、斎藤の部屋に行くことも兼ねて、色々な場所を紹介された。