友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~
食後はサッカー。
琢磨は、ソファに座って食い入るようにテレビを見つめる。
「今のパス、すげー」
「どこが?」
「話しかけんな。今いいとこだから」
「そっちが先に話しかけてきたんじゃん」
その後は、お笑いグランプリのビデオ。
琢磨が寝そうになるのを、のぞみは気づくと揺り起こす。
「起きてよ。次、面白から。推しだから!」
「……のぞみは昼寝してんじゃん。俺は不眠不休」
「でもこれ逃しちゃダメ! 人生損するよ」
最後までなんとか見せて、崩れるように二人ともソファで寝落ちした。
テレビはつけっぱなし。
テーブルの上にはビールの空き缶とお菓子の空き袋。
陽が昇るころ、一度琢磨が目を覚ましたのが、気配でわかった。
ソファを陣取って寝ていたのぞみも、半目をあける。
琢磨は床に座ってソファを枕にしていたのか、頬に布の縫い目跡がついている。
「ああ、やっちゃった」
琢磨の声が嗄れてる。
「六時、かあ。走らなきゃなあ」
そう呟くのが聞こえた。
無意識にのぞみは手を伸ばして、琢磨のシャツの襟を引っ張る。
「今走ったら、死んじゃうよ?」
「……死んじゃう、かもなあ」
そう言って、パタンとソファに顔を埋めた。
「いいんだよ、別に毎日走んなくてもさあ。今日はお休みだよ」
「……だな」
それから二人、お昼頃までぐっすりと眠ったのだった。