友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

琢磨が帰宅すると、すでにのぞみはロフトの上で寝ていた。

本当に寝ているのかわからない。
眠れなくて息を潜めているだけのようにも感じた。

干渉していいんだろうか。

のぞみが隠すということは、琢磨に知られたくないということ。
そこを無理に分け入るのは、二人の関係上難しいような気もした。

それでも。

琢磨はロフトを見上げる。

のぞみが困っているのなら、なんとかしてやりたいとも思う。

「友達だしな」
琢磨は声に出さずそう言った。

何より、元気のないのぞみは、見たくない。

夜の12時。

琢磨は「のぞみ、起きてる?」と声をかけた。

ロフトの上の空気が、少し動く。

「……おかえり」
のぞみは顔を見せず言った。

「話、しようか」
「なんで? もう眠いよ」
「でものぞみ、最近眠れてないだろ」

琢磨がいうと、もぞっとのぞみが動く。
それから観念したように体を起こした。

こちらを振り向く。
もしゃもしゃの頭に、正気のない瞳。

「大丈夫だよ?」
「見るからに大丈夫じゃないじゃん。ミルクあっためるから、飲めよ」

琢磨はキッチンに入って、二人分のホットミルクを作った。
小鍋でゆっくり温める。
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