友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

のぞみはテレビをつけたが、内容が頭に入ってこない。

ここを飛び出していった琢磨の横顔。
泣きそうで、でも待ち望んでいて。

ソファにあぐらをかき、チャンネルをコロコロと変えてみた。

あの彼女とまたここで暮らしたいと言ったら、どこに行こう。
また、不満と不安だらけの毎日だろうか。
でも、琢磨が幸せなら、それでもいい。
だって、友達だから。

ガチャっと音がして、玄関が開いた。

のぞみはコントローラーを放り投げて、ソファから立ち上がった。

ほんの15分程度、外に出ただけ。
彼女に追いつけなかったのだろうか。

廊下に出ると、琢磨は靴を脱いでいた。

「……おかえり」
「うん」

琢磨がのぞみの脇をすり抜けるとき、その冷たさに驚いた。

「大丈夫? 体冷えてる」
「……ああ」

琢磨は腕をさすり「汗かいたからかな」とつぶやいた。

「お風呂、入れてあるよ。入っといで」
「うん」

バカに素直に頷いて、琢磨は洗面所へと入っていった。

ビングに戻ると、のぞみはうるさいテレビを消す。
洗面所からは何も音が聞こえない。

彼女に何か言われたんだろうか。
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