友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~

シャワーを浴びて、アイロンのかかったワイシャツを着る。

髪を整えて出て行くと、のぞみがダイニングテーブルに置いてあった手紙の束を見ていた。

「もっちゃん、結婚すんだ」
のぞみが言った。

「のぞみにも、招待状きてんじゃないのか?」
「あー、きてるとしても実家かな」
「連絡とってないのか?」
「うーん。東京にいるとね、なかなか。むしろ、琢磨はここの住所知らせてんだね」
「そりゃ、引っ越ししたらみんなに連絡するだろ。むしろのぞみはなんでしてないんだ」
「ですよね」

のぞみはそういったが、すぐに「でも」と琢磨を見上げる。

「結婚したことは話してないでしょ?」

琢磨は痛いところを突かれて、ぐっと黙った。

「それは、なんとなくね」

のぞみは頷いて「ちょっと気まずいというか」と、同意する。

「だよな……。じゃあ、のぞみには芹沢宛で来てんだ」
「きっと」

琢磨は招待状を開く。

「広島だって、結婚式。3週間後。ホテルも取ってくれるって」
「行くの?」
のぞみが尋ねる。

「行くよ。もっちゃんだから」
「だよね」
のぞみは頷いた。
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