友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~
「……芹沢さあ」
「うん?」
のぞみは新しく来た冷え冷えのジョッキを手にする。
「これから恋愛する予定ある?」
のぞみはごくんと苦味のある液体を飲み込んだ。しゅわーっと喉を刺戟する。
「ないかなあ。もう恋愛も婚活も疲れた」
「俺もさあ、恋愛予定ないわけ」
桐岡が焼き鳥の串を持って、くるくる回す。
「このままさ、親の圧力にさらされながら独身を貫くよりもさ、手っ取り早くお前みたいな恋愛とは関係ないやつと籍を入れちゃったほうがさ」
のぞみの目もパッと輝く。
「そっか、そうだよね」
「俺の言わんとすることわかった?」
「わかった」
「どう?」
「ナイスアイディア!」
「だろー」
桐岡の目も輝く。
「俺たち、高校の時もいい関係だっただろ? お互い気心知れてるし、恋愛の心配ないし、まあ、子供つくれっていうプレッシャーはあるかもしんないけど、今よりいいよな」
「いい、いい」
のぞみは、その素晴らしい案で、今にも踊りだしたい。
「じゃ、するか、結婚」
「しよ、結婚」
二人は、ビールで乾杯をした。