友情結婚~恋愛0日夫婦の始め方~
披露宴は同じホテルの小規模な宴会場。
招待客は式の参列者も含めておよそ80名程度。
3人は同じ丸テーブルに座った。
「もっちゃん、幸せそうだな」
「そうだね」
頷くのぞみの横顔を見ながら、琢磨はそういえば結婚指輪を送っていないな、と気がついた。
式もドレスも指輪も、自分たちの結婚とは縁遠いところにあるような気がした。
だから、頭の隅にも浮かび上がらなかったけれど。
何もはめられてない、のぞみの薬指を見た。
指輪。
友情から結婚したとしても、あっていいんじゃないだろうか。
披露宴はアットホームな雰囲気で、和やかなに進んだ。
ケーキ入刀のとき、もっちゃんが旦那様の顔にわざとクリームをつけるのを見て、相変わらず男性を翻弄する小悪魔的な女性らしさに、ほっとして笑った。
「ねえ、もっちゃんに挨拶行こうよ」
のぞみが立ち上がった。
「いいよ、俺あとで」
琢磨は首を振った。
もっちゃんの周りには今すごい人だかりができている。
「大崎は?」
「俺もあとで」
のぞみは不服そうに眉を顰めて、それから「じゃ、行ってくる!」とテーブルをたった。