永く青い季節 〜十年愛〜
「大丈夫?!」
呆然としている私に、車道の反対側から声がかけられる。
声の方に顔を向けると、彼が心配そうに見ていて、少し先の横断歩道を渡り私のいる場所まで走って来て、傘を差し掛けてくれた。
「自転車とぶつかったよね?怪我はない?」
「あ、大丈夫です。少し接触しただけですから。回りを確認せずに傘を開いた私も悪いんで…」
「そっか…。傘、壊れちゃったね。…困ったね。俺のに入ってく?」
突然のアクシデントと、彼に初めて話し掛けられた驚きとで、茫然自失状態だった私は、ハッと我に返る。
「いえいえ、そんな!大丈夫です!」
…めっそうもない…先輩と相合傘だなんて、誰かに見られたら恨まれます…
私は声には出さず、強く首を振った。