永く青い季節 〜十年愛〜
「…俺…、…結婚するんだ」
彼の言葉が一瞬にして私の心を撃ち抜き、頭の中は靄(もや)がかかったように真っ白になった。
「あ、…もうそこまで話が進んでるのね?そっかぁ、
…それはおめでとう」
自分の笑顔が、
勝手に口から零れた言葉が、
まるで他人のもののようで、
変だと彼に悟られないよう、私は精一杯虚勢を張った。
「じゃ、今度、彼女の話、聞かせて。
お祝いしてあげるから、ご飯でも行こ」
「そうだな…。じゃその時、美織の彼氏の話も聞かせてよ。いるんだろ?そういう人」
「うん、そうね。わかった」