永く青い季節 〜十年愛〜
「あーごめん、ごめん!幸がね、美織ちゃんのこと、好きらしくて」
サラッと言われたその言葉に、更に狼狽えた私は手で口を覆う。
「でも…だって藤元先輩には彼女が…」
「あぁ、そうだよね。でも別れたんだ」
私は驚きを隠せず、ただ光井先輩の顔を見つめる。
「美織ちゃん、きちんと確認したい。君の好きな人って、幸なの?」
「…はい…」
私はやっとの想いで声を絞り出した。
「そうかぁ…良かった。
あ、誤解招くといけないから言っとくけど、彼女と別れたから次!って事じゃないからね。
あれは彼女の方が積極的で、何かなし崩しに押し切られた…と言うか…。
マネージャーだから無下にもできないしね。
でも、アイツ、いつからか美織ちゃんのこと、ずっと気になってたらしくてさ。
だから、これじゃいけないと思って、彼女と別れたんだ。
幸、モテるから、いつも側に女の子が居てチャラチャラしてるように思われがちなんだけど、多分、自分から好きになった事ないんじゃないのかな…。
だから、からっきしダメでさ。
で、俺がお節介焼きに来たって訳」
ただの1パーセントすら想定してなかった出来事に、私はその後のことをあまり覚えていない。