永く青い季節 〜十年愛〜



翌日、部活が終わった帰り道、藤元先輩本人に呼び止められ、心臓が止まりそうになった。

「僕と、付き合ってくれないかな…」

照れながらそう言われて初めて、昨日、光井先輩に、
「じゃ、幸に伝えておくよ。
けど、こうなったらちゃんと本人に言わせなきゃな」
とかそんなような事を言われたのを、思い出した。





そうして天にも昇るような想いで、私は彼とお付き合いを始めたのだけど…

見かけに寄らず、とてもシャイな彼と、
幼い頃から内向的で、積極的に人に接することのできない私とでは、
教室に会いに行く、とか、
デートに誘う、とか、
世間一般のカップルが普通にしている事が全くできず、

多分見兼ねた光井先輩が、部活の帰りに梨絵や他の友達を私の前から連れ去り、無理矢理二人きりにさせられた上に、途切れがちな会話をしながら一緒に帰るのが精一杯。

メールでは、もう少しは普通に会話ができているのに、すぐ近くにいて顔を合わせると、お互いにどうもままならなかった。
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