永く青い季節 〜十年愛〜
私を好きだと言ってくれた彼。
自分に自信が持てなくて、彼の側に誰かが居るのを目にするだけで、疑心暗鬼になってしまう私。
「他の誰が何を言っても、俺は美織ちゃんのいいところをいっぱい知ってる。もっと自信持ちなよ。そして、俺の気持ちを信じて欲しい」
そう言ってくれた彼。
ただ信じていれば、それで良かったのに…
苦しくて、
辛くて、
私は貴方の手を離してしまった。
「ごめん。もっと美織ちゃんの笑顔を見ていたかったのに…。
ただ辛い想いをさせるだけだった。
もう一緒にいない方がいいんだね?
本当にごめんね」
藤元先輩が三年になり、夏の大会を終え引退する頃に、彼と私は別れた。
何も実らないままに、気持ちだけ残して終わってしまった。
水面に浮かんですぐ消えてしまう泡のように、とても儚い恋だった。