永く青い季節 〜十年愛〜
何度か彼とここに座って、同じ景色を見た。
夕陽と公園の木の葉の色が、妙にマッチしていて綺麗だった秋、
言葉もなく、ただ同じ景色を見ていた。
芝生の上やベンチにうっすら積もった雪の日は、寒さに寄り添うカップルを横目に、私達は少し離れて白い息を吐きながら、公園を横切って歩いた。
そして、彼の肩に舞い落ちた桜の花びらを、そっと指先で掴んで、生徒手帳に挟んだ春の日…。
いつも一緒に帰っていたのではない。
いつまで経っても、相変わらず私達は不器用で、そんな思い出も数えるほどしかない。
ぎこちない会話ばかりだったけど、それでも幸せだったな…
そしてもう一度夏が巡って来て、私達の季節は終わった。