永く青い季節 〜十年愛〜
いきなり隣の椅子が勢いよく引かれ、驚く間もなく大声で話し掛けられた。
「わ〜美織!久し振り!元気だったぁ?何か髪型変わって綺麗になったね」
高校の頃、ポニーテールにしていた長い髪を、卒業してから肩の辺りまで切って、緩いウェーブをかけた。
薄いメイクもするようになった。
そういう梨絵は、昔から美人だったが、少し会わない間に随分大人っぽく、一段と磨きがかかったように見えた。
「やだ、梨絵が私を誉めるなんてキモチワルイ。久し振りったってニヶ月くらいだよ」
「冷たいなぁ。大学入学してお互いバタバタしてて、美織に会えなくて淋しかったんだも〜ん」
「何言ってんの。彼氏できてラブラブしてんでしょ?」
「バレたか」
こういう時にペロっと舌を出しておどける梨絵は、屈託がなく何だかとても愛らしい。
「でも美織に会いたかったのは、本当だも〜ん」
「はいはぃ、ありがとう」