永く青い季節 〜十年愛〜
甘えるように私の腕に絡んで来た梨絵が、急に真顔になり私の顔を覗き込んだ。
「ね、…まだ聞いてないよね?バスケ部OB会の話」
突然、二年前の傷が胸の奥でチクっと痛むのを感じた。
「達也くんが、光井先輩から聞いたって教えてくれたの。夏休みの予定だから、もうすぐ通知も発送されるらしいよ」
“達也くん”とは、“彼”や光井先輩と同級生で、当時もバスケット部に所属していた澤井達也先輩のことだ。
高校在学中は、少し親しいくらいで何でもなかった二人だったが、梨絵が進学した大学で偶然再会し、いつの間にか付き合うことになったらしい。