永く青い季節 〜十年愛〜
「おぅ、幸!久々じゃんか。何お前、来れないんじゃなかったのかよ」
会場の入口で、誰かが叫ぶ声に、一瞬で目が吸い寄せられる。
鼓動が速くなるのが自分でわかった。
「リーグ戦、早々に敗退しちゃってさ…残念ながら暇になって」
「まぁ、そんな落ち込むなよ。初戦、去年の優勝校だったんだろ?仕方ないって。まだ来年があるじゃん」
光井先輩が彼を迎えて、肩を叩きながら、笑顔を向けていた。
「そうなんだ…じゃ今日は俺らがとことん慰めてやるよ〜お前は俺らのエースなんだからな〜」
そこには、あの頃、恋焦がれた“彼”が、仲間達に迎えられ、懐かしい笑顔を見せていた。
シャープな感じで襟足ほどの長さだった髪型は、少しだけ短くなり緩いウェーブがかかっていて、そのせいか前より大人っぽく見えた。
そして、ずっとバスケを続けているせいか、細身なのは変わらないが、より筋肉質な体格になったような気がした。