永く青い季節 〜十年愛〜
慌てて電車のドアに向き直り、彼に手を振ろうとしたが、その姿を見失い、戸惑いながら彼を探す。
きっと、私が降りてすぐに、どこかの空席に座ったのだろう…。
一緒に過ごせた一日は、とても楽しかったけど、まるで夢から覚めた時のような感覚に似ていて…
彼にとっては、久し振りに会ってちょっと懐かしくなって、少し話してみたかっただけのこと…
そう…だよね。
勝手に一人で浮かれて、いったい何を期待してたんだろ…
苦笑いをして、胸に広がる淋しさに、俯きながら小さく溜息をつく。