永く青い季節 〜十年愛〜


「あのさ…、俺達、もう一度、始めからやり直せないかな…と思って…」

彼は顔を上げると、強い眼差しで私を真っ直ぐに見てそう言った。

「…え…?」

「あ、今、返事貰えなくてもいいんだ。帰ってからゆっくり考えて貰っても…」



思いもよらない彼の言葉に、胸の奥のずっとずっと奥の方から、訳の分からない感情が込み上げて来る。

「……や、です」

「え?」

「…嫌です…」


拍子抜けしたように私を見た彼が、苦笑いをする。

「そっか…ダメか…。そうだよね。
もう美織ちゃんの中では俺のことなんか…」
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