永く青い季節 〜十年愛〜
店を出て、懐かしい公園に自然に足が向いた。
お気に入りのベンチもあの頃のまま二人を迎えてくれた。
私が大事そうに握っていたネックレスの箱を、彼が手を出して促すので差し出すと、ネックレスを取り出してつけてくれた。
ネックレスの冷たい感触と、彼の指先が触れる温かい感触…
何ともくすぐったいようで、照れて俯いた私の頬を、彼の両手が包んで上を向かせた。
「こら、下向くと見えない」
一瞬、キスされるかと思ったのに違ったので、急に恥ずかしくなり、頬が上気するのがわかった。
「ん、似合ってる。散々迷ったけど、これにして良かったな」
彼はそう言って、にっこり笑うと、戸惑ったままの私の唇に短いキスをした。