永く青い季節 〜十年愛〜
「折角行くのだから、少しでも長く一緒にいたいし、何か役に立ちたい…」
ここへ来る前、彼に電話でそう話し、今夜は彼が一人暮らしをしている部屋に泊まり、掃除や洗濯をさせて貰う事になっていた。
「あ〜でも、怪我してそのまま担ぎ込まれちゃったから、部屋ん中、汚いと思う」
頭を抱える彼に、ちょっと意地悪心が湧いた。
「じゃ、ありのままの普段の感じをじっくり見せて貰いますか」
「勘弁してよ〜」
そうして、翌日、帰りの新幹線に間に合うように、必要な物も用意してまた病院を訪れる約束をして、私は初めて彼の部屋に行った。
一人だったのが残念ではあるが、来た意味が少しでもできるのなら、嬉しいことだと思った。