永く青い季節 〜十年愛〜
昨日、私がいたベッドの横に、見知らぬ綺麗な女性がいた。
ただ居ただけではなく、ベッドに座る彼と唇を重ねていた。
カーテンが開く音に、彼が弾かれたように彼女と離れる。
「美織っ!」
彼は驚いた顔で私を見て、彼女は華のような微笑みを浮かべて、私に軽く会釈をした。
…どうして?!
…どうして?!…
言葉にはならず、彼の部屋から持って来たバッグをその場に落とし、病室を飛び出した。
「美織、違うんだ!待てよ!」
そんな彼の声が頭の中に虚ろに響き、それでも振り向くことも、引き返すこともできなかった。