永く青い季節 〜十年愛〜


数日が過ぎ、このまま逃げ続けるのも違うと思い、私は彼に電話をかけた。

話したところで、どうしたかったのか、自分でもわからなかったけれど…。



でも…
ただ、もう無理だと思った。


彼を信じられないとか、そんなことではない。
彼の話は本当だと思う。
決して嫌いになった訳でもない。

寧ろ好き過ぎるから、この気持ちに収拾がつかないのだと、痛いほどわかっていた。




私の心って、こんなに脆かったんだと嫌になった。


高校生の頃と同じだ…

彼と一緒にいる限り、本人の意思に関わらず、こういう事はきっとまた起こる…
私は、それを何度も乗り越えて行けるほど強くはない。

「もう懲りてたんじゃなかったの?
また同じ事を繰り返すの?」

心の中で、そんな声が聞こえた…。


あの頃とは違うから大丈夫だなんて、根拠のない自信はいとも簡単に崩れた。
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