君が言っていることは何もあってません
深夜のTVガイド
笑い声が聞こえた。
夏が過ぎた時に虫が歌うように賑やかだった。
賑やかさは寂しさを連れてくる。
終わるから。
涙は小さい頃笑顔を連れてくる。慰めがあったから。
小さい頃夢を見た大人に為って思うのは、
取り立てて変わり映えのない毎日にどうやったら、
自分勝手に生きてゆけるかだ。
夢を自分勝手と思い違いをしていたのだろう。

それがわかってきた頃、歌声に耳を奪われ始めた。
その歌声の主は孔雀のようなきらびやかで、とても目を引いた。
自身を悪魔だと言った。
実のところ、昔からTVに出ていて彼の存在は知っていた。が、歌う姿を見たことが無かった。
深夜の公共放送に映るミサと呼ばれる、ヘヴィーメタルコンサート。
毒のない悪魔だと、微笑ましく見ていた彼の真の危うさに心を奪われてしまった。
それからは彼の追っかけになって、全国を飛び回る程になっていた。
この狂気のような執着は何だったのだろう。
今だにわからないけれど、この生活が当たり前だった。

私が追っかけている、彼の名前はプチデモン。
今は解散してしまったが、『ラニーニャ現象』というヘヴィーメタルバンドの
ヴォーカルと説法とリーダーを担当していた。
『アンチエルニーニョ』の暗示だった。
『アンチエルニーニョ』は『反キリスト教』の意味合いを含むため『エルニーニョ'その男の子'(神の子イエス・キリスト)現象』の反対の『アンチエルニーニョ』は避けられ『ラニーニャ'女子'現象』と呼ばれるようになたからだ。

プチデモンは名前こそスペイン人だが、スペイン人ではない。
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