元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

「後ろの艦隊に連絡しろ。すぐこちらの艦隊と合体し、紡錘陣形を取れ。速度を上げて正面に突っ込む」

ベルツ参謀も苦々しい顔で同意する。

「それしかありませんな」

「ええええっ」

ちょっと待って。周りを敵に包囲された場合は後退して体勢を立て直す、つまり一回逃げて仕切り直すのが常識だって士官学校では習ったけど……突っ込んじゃうの?

「待ってくださいレオンハルト様」

望遠鏡を借りて左右を見る。新しく来た援軍の数を合わせたらこちらの二艦隊を合わせた数より多くなりそう。

「数的に劣勢です。ここは後退するべきでは」

つかみかかる勢いでレオンハルト様を説得しようとするけど、彼は全く意に介する様子がない。

「今さら後退したって、どうせ包囲されるか、正面で集合したあの大軍を相手にするだけだ」

「ま、まあそうですけど」

「心配するな。勝てばいいんだろ」

不遜な態度でふんぞり返るレオンハルト様。私がどう言っても彼が作戦を変えることはなさそう。

いくら優勢だったとはいえ、直前までの戦闘でこちらの損失がゼロというわけではない。敵の砲弾に敗れた船は何隻か存在した。味方艦隊も一割くらいその数を減らしている。

< 114 / 210 >

この作品をシェア

pagetop