元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
乳白色のお湯の中に彼の体が隠れているのをいいことに、顔から手を放し、堂々と目を見て抗議する。けれどレオンハルト様はフフンと憎らしく笑った。いたずらを完成させた子供の顔で。
「心配するな。お前が服を脱いでいる間に、周りに地雷を設置しておいたから」
「明らかなウソですね」
「かたいことを言うな。これほどの湯を独り占めすることもあるまい」
意味のわからないセリフを吐くと、筋肉のこりをほぐすようにこきこきと首を鳴らすレオンハルト様。
「もう!」
せっかく久しぶりにお風呂にゆっくり浸かってリラックスしてできると思ったのに。
お湯から出ないように注意し、低い姿勢のままレオンハルト様から離れようとすると。
「まあまあ、そう嫌うな」
「んなっ!?」
私の左にいたレオンハルト様の右腕が背後に回り、私の右肩をつかんだ。自然と寄り添うような姿勢になってしまい、少しとろみのついているお湯の中で肌が触れる。
「ほら、あの星々を見ろ。素晴らしいじゃないか」
晴れた夜空に無数の星々が散りばめられている。まるで宝石箱をひっくり返したみたい。
「星は確かに綺麗ですけど……」
この体勢じゃ、レオンハルト様に気を取られて星に集中できない。