元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
ふうとため息をつき、国王はまぶたを閉じた。
「時代は変わったのだな……」
独り言のようにそう零すと、彼は皺だらけのまぶたをゆっくりと開いた。
「降伏しよう、ヴェルナー提督。そなたの勇気を称して」
凪いだ海の上に吹く風のような声で、国王はつぶやいた。
レオンハルト様が顔を上げ、深くうなずいた。
こうして約百年にわたって続いたアルバトゥスとエカベトの戦争に、終止符が打たれたのであった。