元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

「俺はライナー・アルトマン。階級は大将、担当は攻撃全般。よろしくな」

差し出された手をおずおずと握る。すると力強く握り返された。男らしい、たくましい手をしている。

上に上がった眉毛と下に下がったタレ目が対照的で面白い。だがブサイクというわけではなく、女性から見たら美男子の部類に入るだろう。

「こちらはヨハネス・ベルツ参謀長。俺に作戦や用兵、その他諸々について、客観的で的確な意見をくれる貴重な人だ」

レオンハルト様にそう紹介されると、ベルツ参謀長は満足そうに背を伸ばした。

「そしてライナーの横にいるのが、アドルフ・シュタイベルト。操船長だ」

「よろしく、クローゼ少佐」

赤毛の二十代半ばと見られるアドルフさんが軽く頭を下げる。階級章を見ると、中将であることがわかる。
他の二人よりも筋肉が薄く、穏やかな印象を受ける。

操船長ということは、舵取りの責任者ってことだよね。

それにしても、参謀長以外はかなり若い。トップのレオンハルト様からして二十八だものね。パッと見、ベルツ参謀長の方が提督みたい。

他にもこの船には約二百人の兵士がいる。組織図で少尉以上の名前は覚えてきたつもりだけど、名前と顔が一致するまではかなり時間がかかりそう……。


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