元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
「そういうお前はどうなんだよ」
「してきたに決まっているじゃないか。この世に悔いを残して出航してはいけない。しかし、昨日ではなく一昨日だ」
「ああ、疲れが残っちまうといけないからか」
真面目な顔で下世話な会話を当然のように繰り広げる二人。ちょっと待って。ここ、酒場じゃないんだよ。元帥の前で、そんな……。
「自分は妻と」
「なっ」
一番誠実そうなベルツ参謀長まで、乗ってきた!
「で? 正直に白状しろよ。お前は何人抱いてきたんだ? え?」
にやにやと笑いながら、馴れ馴れしく肩を抱いてくるライナーさん。
「ですから、私は……」
できるだけ低い声を出して逃げようとすると、ライナーさんの手をレオンハルト様が前からすっと握った。
「ライナー、こいつはまだまだ純情なんだよ。お前と違ってな」
にっと笑い、ライナーさんを私から放させる。た、助かった。
「ちぇっ、つまんねーの。レオンハルト、元帥になった途端に女と遊ばなくなったよな。ルカもこいつと一緒で周りの評判が気になるクチか?」
「俺が遊びをやめたのは、評判を落としたくないからじゃない。まあ、お前には言ってもわからないだろうよ」