元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
勝利のあとで暴かれた秘密
男性らしく隆起した肩。何一つ纏っていないそれからつながる長い首に、シャープなあごを持ったレオンハルト様の顔が近づいてくる。
『ルカ』
彼の唇が私の名を紡ぐ。アンバーの瞳が私だけを見つめていた。
「あ……」
大きな手のひらと長い指が、いつの間にか解放されて空気にさらされている乳房を包んだ。
意識せずとも漏れる声を塞ぐように唇を合わせられる。貪るように口づけられ、体の中心に灯った火が煽られて余計に燃える。
「んんっ」
みんながいる船内でこんなことをしちゃダメ。それに、あなたは姉上の婚約者なんだから。
もうダメ、ダメだったら……。
「ふわあ……っ!」
毛布がめくれ上がり、視界を占領していたレオンハルト様を隠す。自分が飛び起きたことに気づくまで、ゆうに5秒はかかってしまった。
な、な、なんという夢をみてしまったのか……。
ドッドッと馬の群れが疾走していくくらいの音を立てている心臓を落ち着けようと、瞼を閉じて深呼吸をする。
その目を開けると、ライナーさんと彼の部下数人が、私を覗き込むようにして囲んでいた。
「お前、なんつういやらしい声出して寝てんだよ。女子か」
にやにやとほくそ笑んでいるライナーさん。軍服を脱いだ彼の長いオレンジ色の髪が目の前に広がる。