元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する
「夫婦じゃありませんから。正直に申しますと、昨夜私はけっこう無理をさせられました。傷が癒えるまでは、勘弁していただきたい」
「……どっちの傷?」
真面目な顔で首を傾げるレオンハルト様に苛立った。
「どっちもです!」
今まで肉欲とは無縁の人生を送ってきた私の身体は、レオンハルト様の技術をもってしても、無傷というわけにはいかなかった。
本音を言えば、あと一週間は寝込んでいたいくらい、私の身体も心も乱れまくっている。けれど副官という立場がかろうじて私を動かしてくれているんだ。
「そうかそうか。それは申し訳ない」
……絶対申し訳ないと思っていない。そう思わせる不敵な笑顔でこちらに近づいてくるレオンハルト様。ソファに座って警戒していると、彼は私の前に跪いた。
「ならばせめてキスだけでも」
そう言い、私の右手をとり、その甲に唇を寄せる。一瞬にして体温が上昇したのか、頬がかあっと熱くなる。
真っ赤になっているであろう私を見上げ、レオンハルト様がにっと唇の端を上げた。と思うと立ち上がり、私の頬を両手で優しく包む。
背を丸めた彼の顔が近づいてくる。ぎゅっと目を瞑ると、唇に温かいものが触れた。
「何もしないから、一緒に寝よう。女性だけソファで寝かすことはできない」