元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

エカベト方面に出航し、二日が経った。

次はどういった作戦でいくか。幹部が広げた海図を囲んでいると、会議室のドアがノックされた。

「他艦隊からの連絡船です」

見張りの兵士がそう言った。やがて連絡船でやってきた兵士が案内されてやってきた。

「ヴェルナー提督、これを」

渡された一通の手紙を、レオンハルト様が開き、皆でのぞきこむ。

そこには、別の航路を通ってエカベトに向かっている他の帝国艦隊がヴェルナー艦隊に救援を求める旨が書いてあった。

「そちらに迫っている敵の数がかなり多いと。まだ戦ってはいないが勝てそうにないから応援がほしい。そういうことか」

「偵察艦の情報によりますと、敵の主力部隊が動き出したとのことで」

椅子に座ったレオンハルト様の後ろから、ライナーさんがちっと舌打ちした。

「俺らの艦隊に正面からぶつかっても勝てなさそうだから、他の航路を渡っている艦隊を潰して一気にアルバトゥスを目指そうってわけか」

他の艦隊だって、無能というわけではないだろう。

ただレオンハルト様の名声が高すぎる。今回もすでに一個艦隊が魔術のような作戦で敗北させられたから敵も余計に警戒するんだろう。

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