元帥閣下は勲章よりも男装花嫁を所望する

「しかし、良かったのですか。モンテルカストに残って傷を癒すか、本国に戻った方が良かったのでは?」

クリストフは私を気遣うような表情を見せる。

彼は私が実は女だということを知っている。女なのに体に傷を残した私を痛々しく思っているのかも。

「待っているだけなのは性に合わないから」

そもそも私が副官としてついていくことが、退役しかけていたレオンハルト様が再び海に出る条件だった。

正体がばれた今、レオンハルト様も私が再び船に乗ることに反対した。安全なところで隠れて待っていろと言われたけど、私はそうする気にはなれなかった。

それは卑怯な者のすることだと言っていたのはレオンハルト様だし、彼が元帥としてどれほど鮮やかな手腕を振るうのか、もっと見てみたいという気持ちもある。

けれど結局は、あの夜夢にうなされたレオンハルト様を放っておけなかったんだ。

色々と些末な理由はあるけれど、つまり、私はレオンハルト様の傍にいてあげなければならないような気がして、今もここにいる。

彼が寝苦しい夜を過ごす時は、傍にいてあげたい。

「あなたはとても男らしい。敬服します。けれど、無理は禁物ですよ。月のモノが来なかったり、吐き気がしたらすぐ教えてくださいね」

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