【完】こちら王宮学園生徒会執行部
第1章 またはじめましょうか

・祝!女性初の××××








「ん、」



──ふわりと、意識が持ち上がる。

光の粒子が舞うような眩しさに目を細めて。すこし慣れてからまわりを見回せば、寝室にはわたしひとり。



「ああ……そう、か」



ぽつり。

つぶやいて、軽く纏っただけの薄いシーツを引き寄せる。



外ではふわふわと花の薫りがするようになった4月といえど、さすがに素肌にシーツだけじゃ肌寒い。

風邪をひかないうちに着てしまおうと、ベッドをおりてハンガーに掛けられた制服に袖を通した。



元々は、物がほとんど……というよりは、ベッド以外に何も置かれていなかった寝室。

そこにわたしが小物を増やしたことで、すこしは生活感のある部屋になった。



ブレザーを腕に掛け、ベッドサイドで充電していたスマホを接続から離す。

小窓に引かれたレースのカーテンを開けてもう一度朝日のまぶしさに目を細めてから、寝室を出た。




「……おはよう」



リビングの扉を開いて、中に声をかける。

おそらく音でわたしに気づいたのであろう彼は、ふっと口元に微笑を浮かべた。



「ああ、おはよう」



ダイニングテーブルに置かれたパソコン。

隣にあるのはミントグリーンのA4サイズの封筒。おそらく、総合病院の名前が記載されたもの。



「ちゃんと眠れたか?」



「うん。

……っていうか、寝てたから起こさずにいてくれたんでしょう?」



「まあな。

そろそろ起こそうとは思ってたが、」



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