【完】こちら王宮学園生徒会執行部
第1章 またはじめましょうか
・祝!女性初の××××
◆
「ん、」
──ふわりと、意識が持ち上がる。
光の粒子が舞うような眩しさに目を細めて。すこし慣れてからまわりを見回せば、寝室にはわたしひとり。
「ああ……そう、か」
ぽつり。
つぶやいて、軽く纏っただけの薄いシーツを引き寄せる。
外ではふわふわと花の薫りがするようになった4月といえど、さすがに素肌にシーツだけじゃ肌寒い。
風邪をひかないうちに着てしまおうと、ベッドをおりてハンガーに掛けられた制服に袖を通した。
元々は、物がほとんど……というよりは、ベッド以外に何も置かれていなかった寝室。
そこにわたしが小物を増やしたことで、すこしは生活感のある部屋になった。
ブレザーを腕に掛け、ベッドサイドで充電していたスマホを接続から離す。
小窓に引かれたレースのカーテンを開けてもう一度朝日のまぶしさに目を細めてから、寝室を出た。
「……おはよう」
リビングの扉を開いて、中に声をかける。
おそらく音でわたしに気づいたのであろう彼は、ふっと口元に微笑を浮かべた。
「ああ、おはよう」
ダイニングテーブルに置かれたパソコン。
隣にあるのはミントグリーンのA4サイズの封筒。おそらく、総合病院の名前が記載されたもの。
「ちゃんと眠れたか?」
「うん。
……っていうか、寝てたから起こさずにいてくれたんでしょう?」
「まあな。
そろそろ起こそうとは思ってたが、」
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