【完】こちら王宮学園生徒会執行部
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◆ Side夕帆
「お前、またなんかしたんじゃねえの?」
放った言葉に、いつみが不機嫌に眉を顰める。
それを見て機嫌が悪いなと気づくけれど、だからって言葉を取り下げるつもりはない。
ちなみにこれは「また南々瀬が本調子じゃない」といういつみの嘆きへの返しだ。
この間はリナのことでゴタゴタしたんだったか。誤解が解けて仲直りしてただろ。……っていうか。
「直接本人に聞けばいいだろ」
「……聞いた」
「なんて?」
「……進路のことで悩んでんだと」
……ああ、一応原因はわかってんのか。
まあでもその気持ちはわからなくもない。俺やいつみは将来のことが決まっていたから、こうやって進路を決めたわけだけど。
「あいつは色々諦めてきたからな。
……選べって言われても、やりたいことが見つからないらしい」
「………」
「でも声掛かってんだと。
8プロの社長にならねえかって、直々に」
「……8プロって」
大手芸能事務所じゃねえか。
しかも直々にってことは……双子の親のどっちかが持ちかけたのか。
っていうか、それって逆にいいことじゃねえの?
やりたいことが見つからねえなら、差し出されたそれを素直に受けるのが得策だと思うけど。