【完】こちら王宮学園生徒会執行部
「っていうかさ、」
涼しげな漆黒の双眸は、いくみとよく似てる。
そう言うといつみは毎回嫌そうな顔をするけど、たぶん誰が見ても姉弟だってわかる。
「……お前なんだかんだ俺のこと好きだろ?」
「……気色悪いこと言うなよ」
「生まれてすぐのときから一緒で、大学も同じで、マンションも同じで……
何かあったらいつもお前が頼ってくんの俺じゃねえか」
「そのままお前に返してやる」
「俺の場合、お前が主人になるだけだし?
まあいいよ。仕方ねえから、どうせならこの先もご主人様に付き合ってやろうじゃん」
わざとらしく笑みを浮かべて言ってやれば、いつみは呆れたような顔を何の遠慮もなく俺に向けてくる。
だけどその表情も一瞬で、ふっと、小さく笑ってみせた。
「こき使ってやるから、覚悟してろよ」
「そのセリフで全部台無しだわ」
男も惹きつけんじゃねえのってぐらい整った容姿と、稀にしか見せない微笑み。
まあ南々瀬ちゃんには頻繁に見せてるだろうけど、幼なじみの俺でもあまり見ることのないそれを湛えていれば、女の子を山ほどオトせると思う。
……いつみは絶対南々瀬ちゃん以外に靡かねえけど。
「、」
他愛のない会話をしていれば、不意に着信音が響く。
どうやらいつみのだったようで、ちらりと相手を見てからそれに出た。